もっと女性として生きたくなった【ヒルマ・アフ・クリント展】
6月まで竹橋の国立近代美術館でやっていた「ヒルマ・アフ・クリント展」。
人気の展覧会だったし会期終了1週間前で滑り込みだったから混雑覚悟してたけど、平日でド雨だったのもあって、思ってたより空いてた〜。
どうやら私は抽象絵画(←何を描いてるのかわからないようなやつ、笑)が気になったり、なんかいいな〜と思ってしまうのだけど、今回のヒルマ・アフ・クリントも、モンドリアンとかカンディンスキーとかと同じ時代に絵を描いてた人と知って(なんと私ったら〜)と自分の好みにまた気づけたりして嬉しくなったのでした。
ヒルマ・アフ・クリントはお嬢様育ちだったよう。王立芸術アカデミーを優秀な成績で卒業して、職業画家としてキャリアをスタート。かなりちゃんとしてる。
名が知れてる画家って男性が多いし、絵を描いて勝手気ままに生きてるイメージがあるのだけど、やっぱり女性って現実的というか計画性があるというか真面目というか、そういう部分ってあるよね。
植物のスケッチ。上手〜。線とか色使いに女性ならではの柔らかさとか細かさを感じたり。
ヒルマ・アフ・クリントがスピリチュアルに興味を持ち始めたころ。
降りてきたものを描く。解説に「自動書記」「自動描画」ってワードが出てきて、シュルレアリスムの本で読んだことがあったけど、実際に作品を見れた!女性は本来受け入れる性質なんだって考えると、こういうの向いてそう。
淡いピンク。最近、女性(女性性)を色で表現するとしたら一つは絶対この色だって思ってた!
さらに目に見えない世界の探求が続く。
ヒルマ・アフ・クリントが生きた時代って、電気だったりX線だったり放射能だったり、科学的な目に見えない分野に注目が集まってた時と重なる。そうだよね、見えない世界って精神世界だけじゃない。科学もそうなんだって。
占星術でいうと、1946年に海王星が発見された。占星術では惑星が発見されると、その惑星の意味が人間にも意識下されるっていうルールがある。
海王星の惑星意識は、まさに見えない隠された世界。夢、深層心理、秘密、裏で起きてること。
自分自身とそれ以外との境界線を取っ払って、本当は何なのだろう?という意識を広げていく。鋭く追求していくというより、やさしく全てを受け入れて理解していく。
この「神殿のための絵画」は、あぁ〜海王星っぽいなって思った。
「白鳥 」のシリーズ。正方形いいな。
No.1。白と黒。認めてる自分。見たくない自分。両方自分って許せたら気持ちは和らぐんだろうな。難しいけど、この絵を見るたび思い出してやさしい気持ちになれたらいいのかも。
N0.7。こっちは見てすぐ、禅タロットの参加のカードが思い浮かんだ。
ちょうどいいということは大事。参加するって自分が何か積極的にすることだけじゃなくて、受け身になって何かしてもらうことだって参加なのかなって思う。やりすぎもやらなさすぎも居心地が悪い。
ヒルマ・アフ・クリントは、人智学の影響を受けていったそう。目に見えるものと目に見えないものを融合させていく、その先にある人間の可能性。
目に見えるものだけの世界で生きるのは苦しい、私は。蓋のある箱に入れられてるような、そんな気分になる。
でも目に見えない世界に入り込みすぎても危険。私たちはカラダがあって目に見える物質的な存在なんだから、ちゃんと人間をやらなきゃって言い聞かせてる。現実的であるって大切なことだなとも思う。
正直、ちょうどいいバランスって簡単じゃないなって複雑な気持ちにもなる。
「原子シリーズ」
物質の最小単位の原子としてのミクロ。宇宙的なエネルギーとしてのマクロ。ミクロとマクロは繋がってる。そんなイメージ?
作品の中の書き込みが面白いなと思った。
「原子は、下方への引力から自由になる最初の特性を発見した。すなわちそれは信頼性と忠誠心である」
「原子は進歩し続けるためには忍耐と寛容が不可欠であることを発見した」
忍耐は土星。寛容は木星。進歩して大人になるということは、耐える力と大らかさが自分の中に育ってることなのかなと思った。
最後の方は水彩で描いてたみたい。色と水が混ざりあって、自然にまかせた作風になってた。
偶然のにじみ。2度と同じ色、同じかたちにはならない。なんて貴重なんだろうって思った。水彩はやっぱりいいな。
女性が女性の良さを当たり前のように発揮して、もっと満たされて生きれたらいいなと思った。
女性性とか女性の良さって何?って考えてみると、内側で感じてることとか、カラダの変化に敏感に気づくことがまずそうかもしれない。あとはジャッジなく全て受け入れる許しのようなものとか、柔らかくホッとする癒しの空気感だったり、そういう女性的なるものが、人間が進化していくのに必要なのでは?と感じた展覧会だった。
そもそも社会全体が、はっきり目に見える成果とか勝ち負けとか権威とか、男性的な価値基準が強すぎてアンバランス?男性は自分の中の女性性に蓋をしがちだし、女性もやっぱり自分の女性的な面を使いづらい世の中になっている。
もし今の社会がそうだとしても、一人一人が女性性に気づき目を向けて、そういう女性が(もちろん男性も)増えていったら、世の中が少しずつ男性性と女性性のバランスの取れた自然と心地よい世界になっていくのかもしれない。
この後、近代美術館の常設展示の方もふらふら。空いてて最高。
そしてこれまた空いてる展望室?で皇居を眺める。曇り空がホッとする。今度時間があるときは皇居のまわりものんびり歩いてみたいな。
この日はこれで時間切れ。次の予定があり神保町方面へてくてく。
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最近の1冊: 夏目漱石のこころ。私は学生時代は村上春樹の本ばかり読んでたんだけど、夏目漱石みたいな純文学は読んだことなくて今さら。なんか村上春樹に通じるところある。表面的にさっぱりドライに見えても、内面に何かしら根深いテーマを抱えてるところ。